傾聴は3つのレベルと5つのスキルから成り立つ

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部下育成で傾聴って言うけど、そもそも傾聴って何?

れおねる

端的に言えば、相手の深層への「気付き」と「影響力」の2つになります。

コーチングの最終目的と全体像を簡単に解説」で、コーチングはどんな目的でやるか、コーチングの全体像について解説しました。

今回は、コーチング手法の一つである傾聴について解説しますが、こちらの記事では…

  • 部下育成をする上で、傾聴を理解したい人に向けて
    • そもそも傾聴とは何か?
    • どんな風に傾聴すれば良いのか?
    • 傾聴の全体像について知りたい

上記の3点について解説します。

傾聴を学んでみると実行するのは非常に難しく、そもそもに興味・関心が無ければ傾聴できない事が良く分かります。

傾聴の目的は?

傾聴はよく人の話を聴くという行為を指していますが、多くの場合、表面的な会話に終始しています。

  • 人の話を聴く
    • 相手が言った言葉にしか注意を向けていない
    • コトに意識が向き、素早く解決しようと答えをアドバイスする
      ☞ 直線的な競争(誰よりも素早く)であり、ゴール(事を解決)を目指してしまう
  • 職場では…
    • 人は利益を出すための道具、歯車の一部になる
    • 心から相手の話を聴くという事が欠如している
      ☞ そもそも相手の話を聴く心の余裕が無い
    • 全員が自分の話をしてばかりで、誰も相手の話を聴いていない

傾聴は問題解決ではありません。傾聴は自分と相手の協働であり、相手が自主的に行動するための創造的な探究になります。

自分の「こうあるべき」を強いるのではなく、相手が「どうしたいのか」を見えるようにサポートする事です。

VUCAな時代と言われる現代では、組織にいる個々人のエンゲージメント、つまり深い関わり合いや関係性が重要度を増しています。

表面的な会話では、深い関わり合いや関係性になるはずがありません。

傾聴は、人同士の深い関わり合いや関係性を創る重要な行為になりますが、その中身は以下の2つになります。

  • 気付き
  • 影響力

気付き

気付きは、相手の話を聴いていて気付く事を指します。

具体的には、相手の言葉から深層の想いや感情を体で感じる事で、頭で考える事ではありません。

  • 感覚
    • 言葉
    • イメージ
    • 感情
    • 熱意
  • 情報
    • 話し方の調子
    • 音の高さ
    • 声の抑揚
  • 気付きで大事な事
    • 双方でオープンマインドである
    • 新しいことを受け入れる続ける事

影響力

気付きの段階で相手の深層の想いや感情を体で感じたら、それを自分の内に留めてしまうのは傾聴ではありません。

気付き、相手に影響を与えてこそ、傾聴の真価が発揮されます。

  • 影響への意識、働きかけ
    • 気付いたことを、相手に伝える
    • 相手自身で気付いたことを、打ち明けてもらう
    • 気付きの共有で、相手の行動にどんな影響を与えたか、意識を向ける

傾聴の全体像

これまでは傾聴の目的について解説してきました。ここからは、その傾聴の全体像について解説します。

基本的には以下の項目から成り立っています。

  • 傾聴のレベル
  • 傾聴のスキル

傾聴する3つのレベル

傾聴には3つのレベルがあり、それぞれ内容は以下のようになっています。

  • レベル1:内的傾聴
  • レベル2:集中的傾聴
  • レベル3:全方位的傾聴

レベル1:内的傾聴

内的傾聴は意識が自分の内面に向いている、言わば偽りの傾聴で、相手に興味・関心を向けていない状態になります。

  • 言葉は聴いているが、自分自身にとって何を意味するかに意識
    • ベクトルが自分に向いている状態
    • 一方通行のコミュニケーション
    • 自分の「こうあるべき」に執着
  • 「素早く問題を解決しよう」と頭で考えている
    • 相手と共に創り出し、協働して解決する可能性を潰している
  • 意識
    • 自分の内面に向いている
    • 考え、判断、気持ち、結論など、全ては自分
  • 偽りの傾聴

レベル2:集中的傾聴

集中的傾聴は相手の言葉・内面に向いている、一般的に言われる傾聴の状態になります。

  • 相手にしっかりと集中する聴き方
    • お互いが相手に向かって身を乗り出している
  • 聴く
    • 相手の声の調子
    • 抑揚
    • ペース
    • 滲み出る感情
  • 見る
    • クライアントの話を聴き取り、応答する
    • 応答した時のクライアントの表情を見る
  • 大事な事
    • 集中的傾聴が意識的であること
    • それに自分自身が気付いている事

レベル3:全方位的傾聴

全方位的集中は相手の言葉・内面だけでなく、空気感や環境など、自然に相手の心を感じ取る状態になります。

感受性が高く、他人と比較せず相手をそのまま受け入れ、5感で相手に意識を向けます。

コーチであっても、このレベルまで傾聴できる方はなかなかいません。

  • 自分と相手だけでなく、360度全てに意識を当てる聴き方
  • より直感が働く
    • 応答はどのように受け取られたか
    • それに対し何に気付いたか
  • 環境的傾聴
    • 部屋の温度
    • 雰囲気
    • 明るさ
    • 比喩的
  • クライアントのエネルギー
    • 高揚
    • 沈む
    • 落ち着いている
    • よそよそしい
    • 熱狂
    • 飛び立たんとする蝶
    • 爪を立てる鷹
  • 鼓舞するリーダー
    • 傾聴に優れている
    • 気付き、影響を与える
    • 今起きた事に集中し、そこから共に創る能力

傾聴を支える5つのスキル

これまで3つの傾聴レベルを解説しましたが、ここからはその傾聴を支える5つのスキルを解説します。

  • スキル1:反映
  • スキル2:明確化
  • スキル3:俯瞰
  • スキル4:比喩
  • スキル5:認知

スキル1:反映

  • 起こっている事を明確にするスキル
  • クライアントの葛藤
    • 自分が何をしているのか
    • 何を言っているのか
    • 自分だけでははっきりわからなくなる
    • 全体像が見えなくなる時
    • 目の前の細かい事に執着している時
  • 矛盾の指摘
    • コーチとクライアント間で約束した行動
    • 実際の行動との明らかな食い違いを曖昧にしない
  • 真実の追求
    • クライアントが行ったこと、行わなかったこと
    • 総合するとどんな真実(深層)が浮かび上がってくるか
    • クライアント自身が見えるようにサポートする
  • 正しいかどうかにはこだわらない
    • 代替案や異なる解釈も受け入れる心の余裕がある
    • 矛盾の指摘と受け入れ、相矛盾するような2つの要素が同時にある

スキル2:明確化

  • 傾聴を土台として、クライアントが物事をよりはっきりと見られるようにするスキル
    • 質問、言い換え、視点を転換
  • 漠然と抱いているイメージをより鮮明にする
    • クライアントがはっきり言えるようになることが目的
    • 細部を詰め、最終的にそれでいいかどうかを確かめたいとき

スキル3:俯瞰

  • 物事の全体像を捉えるスキル
    • クライアントの人生を上空3000メートルから眺めるイメージ
    • 会話の詳細ではなく、客観的な観点から発言できる
  • 異なる視点から物事を見るキッカケを与える
    • 自分のビジョン、生き生きとした人生のイメージを思い出す
  • ある特定の状況への対処にパターンがある
    • これが俗に言う固定観念や執着
    • クライアントの人生に繰り返し現れる苦しみ
    • これを取っ払う事は自分にとって最大のチャレンジ
  • 効果的な場面
    • クライアントの意識が問題の細部に囚われているとき
    • その問題の文脈や背景を明確にするとき

スキル4:比喩

  • クライアントの体験をより速く容易に理解できるようサポートするスキル
    • 感覚やイメージ
    • 知性よりも情景に訴えかける方が効果的
    • 使った比喩があまりピンと来なくても、別の比喩を試してみればよい

スキル5:認知

  • クライアントに揺るぎない自信を与えるスキル
    • その人がどんな人なのかに焦点を当てる
    • クライアントの価値観と行動した勇気
    • 内に秘めた強さを称える事
  • クライアントに気付くきっかけを与える
    • 卑屈になるあまり、見落としている事
    • そもそも全く気付いていないこと
    • 成長しつつある部分
    • 強くなりつつある部分
  • 2つの側面がある
    • 認知をクライアントに伝えるという側面
    • 認知がクライアントにどんな影響を与えたか気付くという側面
  • 人は、相手から理解して貰えていると感じる事は滅多にない
    • それゆえ、認知の力は極めて感動的な事

書籍紹介

最後に、記事を書くに当たり参考にした書籍を紹介します。

コーチング・バイブル -人の潜在力を引き出す協働的コミュニケーション-

  • 国際的に認定されているCPCCのコーチング技術について記載された書籍
  • コーチングが傾聴だけの手段になりがちな現代社会で、その目的が細かく紹介されている
  • 人に関わる仕事の違いについても記載があり、はっきりと区別できる事を学べる
    • コンサルティング
    • コーチング
    • メンタリング
    • セラピー

まとめ

今回は、コーチング手段の一つである傾聴について解説しました。

今後も、コーチング手段の直感、好奇心、行動と学習、自己管理を解説していきます。

  • コーチは傾聴する。そして、傾聴はコーチングの入り口
    • 傾聴のレベル
      • 内的傾聴
      • 集中的傾聴
      • 全方位的傾聴
    • 傾聴のスキル
      • 反映
      • 明確化
      • 俯瞰
      • 比喩
      • 認知
    • クライアント
      • クライアントのビジョン
      • 価値観に沿って生きているか
      • 今、どんなところにいるか
      • クライアントの抵抗や乱気流を感じる

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