持続可能な開発目標の概要とSDGsを目標とした新規分離技術の紹介

プロセス開発
スポンサーリンク
この記事を読むのに要する時間: 3

SDGsって何?

分離技術では何があるの?

れおねる

2030年までに掲げた世界共通の国際目標です。

日本企業の経営課題2020によると、SDGs認知度は大企業で9割、中小企業で6割、さらに実際に取り組んでいる企業も全体で6割と、ここ数年で認知・活動が広がってきているようですね。

しかし、周りでSDGsに関する話題があまり挙がらず、実は良く分からない方も多いのではないでしょうか?

本記事を読むことによって…

  • SDGsをざっくり理解できる
  • 企業・大学などが開発したSDGS目標の新規分離技術知る事ができる

前半はSDGsのざっくりした概要説明、後半は私自身が化学メーカーに勤めている事から、SDGsを目標とした新規分離技術をご紹介します。

SDGsの関係、立ち位置

SDGsを発足した流れをざっくり絵にすると、上図のような関係になります。

SDGsはSustainable Development Goals(=持続可能な開発目標)の略称で、2030年までに世界で起こっている問題を17の解決すべき目標として、次の世代に繋げていくという目的で掲げられました。

端的に言ってしまうと…

このまま経済活動を続けていては、地球が持たない

1987年 ブルンプラント委員会 報告書

SDGsの目標はつい最近起こったのではなく、既に1980年代には意識されていた問題だったんですね。

そして、もとは平和・開発・人権と環境・持続可能性は別物と捉えられていました。

以下では、MDGs、ESG問題、そしてSDGsに関する事をざっくり説明します。

MDGs

  • 2000年代に平和・開発・人権のミレニアム開発目標が定められた
  • 極度の飢餓や貧困の撲滅など、発展途上国のみの対策
  • 1990年から2015年までで大きな成果が出た
    • 極度の貧困化に暮らす人数19億➯8.36億人に減少
    • 初等教育就学率83%➯91%に増加 etc…
  • 一方、目標の達成には国、地域によって差があった
  • MDGsの恩恵を受けられない人、格差の存在が浮き彫りに

ESG

  • 環境(Environment)、社会(Social)、組織統治(Governance)の頭文字
  • 急速なグローバル化に伴う、ビジネスの持続可能性や成長を脅かす存在
    ☞ 従来の大量生産、大量消費、大量廃棄のビジネスからの脱却が必要
    ☞ 企業にとって、ESG問題の対応は経営課題となる

SDGs

  • MDGsとESGは別々のルートを辿ってきた
  • それぞれ対応していく中で、2つの目指す世界は同じであるという意識が生まれた
  • 2012年のリオ+20で、コロンビア、グアテマラから1つに統合すべきと提案
  • 2015年にMDGs、ESG問題を統合したSDGsが誕生
    ☞ 各目標の背景に169のターゲットがある

SDGsを開発目標とした3つの分離技術

  • B-DASH技術(SDGs目標6)
  • RemixWater(SDGs目標6)
  • 有機溶媒分離を目的としたろ過膜の開発(SDGs目標9)

企業・大学がSDGSを目標に新規素材・技術を開発しており、日本化学工業協会のホームページではその事例集が紹介されています。

今回は分離技術に着目して、3つほど紹介します。

B-DASH技術

メタウォーター B-DASH技術

  • 下水道の沈殿処理工程に代替されるろ過技術
  • 従来:大都市では合流式下水道が採用
    ☞ 下水だけでなく雨水も含むため、大きな沈殿面積が必要
  • 新技術:ろ材による夾雑物のろ過+ろ材洗浄を交互に行う
    ☞ 従来の1/5のスペースで済む
  • 除去した夾雑物をバイオマス資源として利用
    ☞ エネルギー自給率を向上できる

RemixWater

日立製作所 RemixWater

  • 海水淡水化と排水リサイクルを合わせた膜分離技術
  • 従来:海水淡水化には一般的に7MPaの高圧条件が必要
    ☞ 高圧ポンプの電気代が運転コストの約半分
  • 新技術:排水処理の濃縮水を海水に混ぜる
    ☞ 海水中の塩濃度が下がり、ポンプ圧力を40%低減可能
  • 従来の方法と比較して、30%省エネ化が実現

その他水処理技術について知りたい方は、下記の記事を参照ください。

有機溶媒分離を目的としたろ過膜の開発

  • 神戸大学が行っている、有機溶剤の分離に使われる膜分離技術
  • 従来:蒸留による分離が主流で、エネルギー消費大
    ☞ 多くのCO2を排出
  • 新技術:混合有機溶媒を分離できる膜の開発
    ☞ 蒸発潜熱が不要のため、高い省エネルギー化が可能
  • 化成品、医薬だけでなく電子材料分野にも応用が期待される

SDGsの個別課題をもっと分かりやすく

全容は何となく分かった。

けど、17の目標を理解するのがまたしんどい…。

れおねる

きゅまる(@kyumaru7)さんのブログがオススメです!

今回紹介した内容は水処理や技術開発に該当する目標を主に紹介しましたが、その他に15の目標があります。しかし、一つ一つの内容を理解するのはこれまた多くの情報量があり、かなり大変ですよね。

きゅまるさんのブログでは、17の開発目標を非常に分かりやすく、簡潔にまとめて下さっています。

普段のお仕事からSDGsに携わっているエンジニアの方ですが、小難しいSDGsを「日本一ゆるく実践、発信したい」をコンセプトに、身の回りの例から着眼してSDGsを分かりやすく解説しています。

SDGsの個別課題をもっと分かりやすく知りたい方は、是非きゅまるさんのブログをご覧ください。

まとめ

今回は、「持続可能な開発目標の概要と新規分離技術」をテーマに紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

  • SDGsは、平和・開発・貧困の課題と、環境・持続可能性の課題が合体したものだった
  • 1987年には既に意識されていた
  • 水処理技術を中心に、SDGs目標の分離技術を開発している

SDGsの目標が2030年までとなっているので、あと9年でどこまで達成できるのか、注目していきたいですね。

社会人で使える化学工学に関するウェブサイトを知りたい方は、下記の記事を参照ください。

れおねる

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました