自己中心的な人が身近に居て、精神的に参っている…。
もしかすると、自己愛性パーソナリティ障害(ナルシズム)の持ち主かもしれません。
本ブログではこれまで、マニピュレーターと呼ばれる人間関係に悪影響を与える人格について解説しましたが、今回はナルシズムと呼ばれる自己愛性パーソナリティ障害に関する人格についての記事になります。
こちらの記事では…
- 自己愛性パーソナリティ障害の方が周囲に居て、精神的に参っている方に向けて
- 自己愛性パーソナリティ障害はどんな特徴があるのか?
- このような人格はどういう過程で生じるのか?
- どのように自分の身を守れば良いのか?
上記の内容を解説します。なお、本記事で一番理解して頂きたいのは…
- 相手が自己愛性パーソナリティ障害だと分かったとしても、決して貶めてはいけない
☞ それも一つの個性であり、環境によって誰でもなり得るから - 特徴や背景を知った上で、自分は幸せに、平穏に生きる事が最大の目的
☞ 相手を正そうとしない。正しさに拘った瞬間に、争いの種になる。
自己愛性パーソナリティ障害とはどんな特徴があるのか?
自己愛性パーソナリティ障害(ナルシズム)とは、傲慢で尊大、自己中心的な行動や態度を見せたり取ったりする人格の事を指します。その考え方の根底には、以下のようなものがあります。
- 相手の欲求よりも自分の欲求の方がはるかに重要
- 何事も自分の思い通りになって当然と考える
- 真の自尊心が欠けている
- 自分自身の感情を感じ取れる能力が乏しい
- 相手の感情に共感できる能力が無い
- 現実と幻想をしっかり区別できる能力が乏しい
お茶を濁さずに言えば、体だけ大きくなった子供で、相手を犠牲にしてでも未熟な自分を守ろうとする行動を取ります。
この考え方の根底から、以下のような特徴があります。
- 傲慢な態度で見下す
- 特別扱いを求める
- 他者を平気で利用する
- 相手を自分の一部と見なす
それぞれ解説します。
傲慢な態度で見下す
- 自分の優位を確認する手段として競争を好む
- 自分の価値を他者より優れている事によって、自尊心を維持している
- ゆえに、高飛車で批判的、完璧主義で権力欲が強い
- 権力を握る事で相手をコントロールし、貶める事で自我を支えている
特別扱いを求める
- 周囲は自分に同意し、従い、褒めちぎるためだけに存在している
- 特別な人間で、特別待遇を受けて当然だと考え、無条件に褒める事を要求する
- 雑談でも、自分の話や自分が興味を持つ話をして当然と考える
- なので、相手の話を聞いたり理解したりする義務はない
- 相手を尊重することを学べず相互関係を築けない
- 承認や称賛を要求する傲慢な大人に成長する
- 1,2歳児の幻想の世界に生きている
他者を平気で利用する
- 共感をするには…
- 自分が相手とは分離した存在だという認識
- 恥を含む色々な感情に耐えられる能力が必要
- 怒りや攻撃性を爆発させやすく、それゆえ共感能力が低い
- 相手は別の個人ではなく、自己の延長に居ると考えるため、周囲を利己的に利用する
- その人間関係は、必ずWin-Loseの関係となる
- 薄っぺらで、何でも自分の事ばかりだが、その自覚が無い
相手を自分の一部と見なす
- 自分と他者に境界があり、別個の人間である事を理解できない
- 勝手に日記やメールを読んだり、スマホを覗こうとする
- 物を無断で拝借する
- 会話を盗み聞きする
- お節介な質問をする
- 聞かれてもない意見を他者に押し付けたりする
- アイデアや手柄を盗む
- 秘密を守らない
- スキンシップを強要する
ナルシズムとサイコパスは違う?
ナルシズムに似ている人格にサイコパスがありますが、以下の点で違いがあります。
また、ナルシズムを形成するなど、全ての異常心理の入り口ともいえる完璧主義に関する記事は、こちらをご覧ください。
人格はどのような過程で形成されていくのか?
ここまで自己愛性パーソナリティ障害の特徴について、大きく以下3点の特徴がある事を解説しました。
- 特権意識
- 自分の欲求が何よりも優先され、何でも手に入れられて当然
- 他者はその欲求を満たすために存在する
- 誇大感
- 自分は特別で重要な存在だという現実離れした自己像
- 自己意識が膨れ上がった感覚
- 万能感
- 大きな力を持ち、どんな事もでき、何でも意のままになるという思い上がった感覚
ではなぜ、このような人格が形成されるのか、以下に解説します。
自己愛の強い母親の存在
- 自分の自己愛を満たすために母親の地位に就く
- 理想的で美しい母親として周囲の羨望を一身に集める姿
- 完璧な存在にしたいという願望
- 経済的に無理をしてでも、何もかも最高のものを追い求める
- 自分の子供に幻想のなかの理想像を投影し、完璧な子供を求める
- 外見や作法など、他者からプラスの評価を得やすい行動
- 学業やスポーツ、習い事など、他者からの羨望を得やすい事
- 子供の評価=コントロールしている母親の評価となる
- 一方、理想像に反すると過剰に恥の意識(怒り)を植え付けて、支配しようとする
- 結果として、子供が自己愛性パーソナリティ障害を持つ
自己愛の強い父親の存在
- 父親になるつもりがない
- 子供が生まれた時に母親(妻)の意識が子供にいくことに嫌悪感を抱く
- 自分の妻としての特権を奪われたように感じ、子供を憎む
- その感情を妻に皮肉やブラックジョークでぶつけ、酷い場合は暴力を振る
- 妻の健康や幸せに関心が無く、自分の欲求を満たす時にしか接触しようとしない
- 責任を求められると、束縛と捉える
- 支配欲が強い
- 父親の地位を利用して自己愛を膨らませる
- 母子につきまとって、自分が中心になる方法を見つけ出す
- 妻の注目をめぐって子供と張り合い、不機嫌になる
- 妻に対する要求がだんだんと厳しくなる
以上のように、親からの影響が強く、自己愛の強い親は自分に夢中で子供に共感を示すことができません。親の誇大感や特権意識により子供を理想化して、完璧さを求める事になります。
つまり、親の望む人間になろうとするので、自尊心が脆く、周囲の承認を求めるようになります。
自己愛性パーソナリティ障害の方とどのように接すれば良いのか?
これまで自己愛性パーソナリティ障害の特徴や形成する原因について解説しました。
次に、このような方が身近に居る場合、どのように接して自分の身を守れば良いのかを、それぞれ解説します。
- 自分を理解する
- 目の前の現実を受け入れる
- 相手との境界を決める
- 相互関係を築く
自分を理解する
目の前の現実を受け入れる
なお、自分の長所について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
相手との境界を決める
相互関係を築く
書籍紹介
最後に、記事を書くに当たり参考にした書籍を紹介します。
結局、自分の事しか考えない人たち
あなたの中の異常心理
まとめ
今回は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴と遭遇した時の接し方について解説しました。
- 自己愛性パーソナリティ障害(ナルシズム)とは、傲慢で尊大、自己中心的な行動や態度を見せたり取ったりする人格
- 家庭環境によるところが大きい
- 自分の強み弱みをしっかり受け入れ、相互関係を築く
また、職場で部下を助けない部下を助けない上司の特徴について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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