【SUSとはどんな意味?】化学工場で使われているSUS材質の種類と特徴・用途を解説

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SUSって種類が沢山あるし、何がどう違うのか…

れおねる

SUSの種類と特徴、使用場面について説明します。

そもそもSUSって何?

URLに答えを書いてしまっているのですが、SUSはSteal Use Stainlessの略称で、ステンレス鋼の意味になります。

鋼は主成分が鉄、2%以下の炭素(+微量のマンガン、リン、硫黄)を含んだ合金で、
ステンレスはStain lessなのでサビにくいという意味を持ち、
鋼にクロムやニッケルを含有させる事で、大まかに以下の特徴を持ちます。

SUSの特徴
  1. クロムやニッケルを含有させることで不動態被膜を形成し、サビに強くなる
  2. 熱伝導率が低いため、耐熱性に優れる
  3. ニッケルを含むことにより強度が増す

これらの特徴を持っていることから、配管や動・静機器の材質に広く使われています。
ただ、いくらサビに強くなるとは言え、化学プラントは海側にある事が多いので、
潮風にやられて少々サビているSUS配管も見かけたりします(笑)
次項では、SUSの種類と特徴、それぞれに適した用途を説明します。

話は逸れますが、鉄、鋼、鋳鉄の違いはご存じでしょうか?
学生時代に化学工学の講義を受けていたとき、
教授から上記の質問をされた記憶が鮮明に残っており、
当時答えられなかったので、下記に留めておきます。

炭素の含有量によってそれぞれ言葉が分けられています。

種類炭素含有量
炭素量が約0.02%以下のもの
炭素量が0.02から2.14%の範囲のもの
鋳鉄炭素量が2.14%以上のもの
鉄、鋼、鋳物の違い

この炭素量の違いが何を生み出すのかと言うと、
炭素量が多くなると材料は硬くなりますが、
その反面、折れやすくなります

硬さと靭性を両方追い求める事ができないので、
目的に応じて炭素量を変える必要があります。

また、鉄や鋳鉄は熱処理による硬化や特性の大幅な変化はできません。
一方、鋼は熱処理することで硬くしたり、反対にやわらかくもできるという、
機械的性質を大きく変える事ができます

SUSの種類と特徴、用途について

SUSの大まかな特徴が分かったところで、
種類と特徴、用途について、以下にまとめます。
複数の分類が出てきますが、結晶構造冷却速度によって分けられます。

れおねる

全てを載せるには多すぎるので、
一般的なものをそれぞれまとめています。

オーステナイト系

鋼を常温から加熱すると、結晶構造が体心立方から面心立方へ変化します。
これがオーステナイトと呼ばれるもので、ここを基点に熱処理することによって、
機械的性質を変化させることができます。

種類成分特徴
SUS30418Cr-8Ni-0.06C代表的なステンレス鋼
配管・機器の材質など、用途の幅は広い
SUS31618Cr-12Ni2.5Mo-0.06CNi,Moの成分比率を上げて、さらに高耐食性を持たせたもの。
Moが雨水や海水によって破壊された不動態被膜を修復する働きを持つ。
海沿いや化学プラントで良く利用されている。
(また、化工系研究室では良く使われている。)
SUS316L18Cr-12Ni-2.5Mo-極低CSUS316の炭素比率を小さくしたもの(L=Low carbon)
溶接の際にCr炭化物を析出して粒界腐食が生じるのを低減するため。
さらに、冷間加工性も向上する。
SUS316L EP18Cr-12Ni-2.5Mo-極低C
電解研磨
SUS316Lに電解研磨を施したもの。
金属表面の凹凸を平滑化し、汚れを付きにくくしたり、
均一な不動態被膜を形成する事で長期の使用が可能。
半導体、医薬プラントなどで利用されている。

上記の種類はよく使いましたが、半導体溶剤にはSUS316L EPを使用していました。

研磨というと車のバフ研磨(機械的研磨)を思い出す方もいると思いますが、
電解研磨は金属表面を溶解する事によって、平滑化する手法になります。

さらに、電解研磨にも表面粗さ(算術平均粗さRa)というものがあり、
この値が小さいほど金属表面の凹凸は少なく、
プラント立ち上げ時の洗浄回数を減らすことができます。
(価格は高くなりますが…。)

れおねる

通常仕様を使ったことで、プラント立ち上げの洗浄工程がなかなか終わらなかった、という話をベテランから聞いたことがあります。

次に紹介する2種類は化学プラントで見かけないSUS材質のため、それぞれ一つだけに留めます。
(オーステナイト系以外にも使ったことがある方が居れば、ご教示ください。)

マルテンサイト系、フェライト系

前項のオーステナイトの状態を急冷する事により
結晶構造が面心立方から体心立方に変化し、
硬いが脆いマルテンサイトが形成されます。

フェライト系は、オーステナイトの熱処理前の状態で、
結晶構造は体心立方になります。

種類成分特徴
SUS41013Cr-0.1Cマルテンサイト系の代表的なステンレス鋼
食器類(ナイフ、フォーク)やタッピングネジに利用
SUS43018Cr-0.1Cフェライト系の代表的なステンレス鋼
食器や家電製品、建築内装に利用

まとめ

今回はSUS材質について、化学プラントで良く利用されているものを中心に解説しました。
普段何気なく使っているSUSですが、それぞれどういうものでどんな特徴を持っているか、直ぐに出てこなかったりします。
若手や新入社員に聞かれたときに、「そういえばこうだったな」と思い出してもらえれば幸いです。

半導体化学メーカー全般を知りたい方は、下記の記事を参照ください。

半導体化学業界で使われるフッ素材質について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

れおねる

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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