
正直、化学メーカーで現場に入るのは嫌だけど、
研修で入る事になった場合、何をやるんだろう?

化学メーカーで製造現場というと、3K「きつい」「汚い」「危険」の最たるものというイメージがあるのではないでしょうか?
私自身、前職は百数十人規模の中小化学メーカーに勤めていて、OJT研修で1年半ほど現場にいました。
そこで、こちらの記事では…
- 化学メーカーの製造現場でどういう仕事をやるのか知りたい方に向けて
- 百数十人規模の中小化学メーカーの現場業務紹介
- 大きくは①製造業務、②法的業務、③設備導入業務の3つ
上記の内容を紹介します。
OJT研修に関する記事はこちらになりますので、ご興味ある方は是非!
やる事が細分化されてないため複数の業務を並行してやる必要がある
- 大企業では業務内容に応じて部署が細分化されている
- 中小企業では基本化学プラントで発生する業務=全て現場がやる
全ての中小化学メーカーがそうとは言えませんが、基本大企業のように人が潤沢に居ない&業務内容も細分化されていない事が多いです。
ですので、化学プラントで発生する業務は全て現場がやる、というのが実態です。
以下では、具体的にどのような事をやっているのかを紹介します。
原料仕込みと製品の充填・梱包作業
- 自動化されている設備が少ない
- 原料仕込み作業や製品の充填・梱包は人の手で行っている
- 1日原料仕込みと製品の充填・梱包作業に追われている
転職活動していた際に、ある大企業の現場を見せて頂いた事があるのですが…


外で作業をしている人が居ない…
これはかなり驚きました。大企業に勤められている方には当たり前なのかもしれませんが、プラントがほとんど自動化されているので、人が外で作業をする事は無いんですね。
私が勤めていたところは外作業は当たり前で、建屋の中にいる事の方が少なかったです。
製品の充填・梱包作業は流石に建屋の中ですが、空調が効いていないところで作業していました。夏は暑く冬は寒い…まさに皆さんが想像している3Kですね。


なお、院卒でもフォークリフト免許を取らされました(笑)
複数プラントの毎時製造記録
- バッチプラントかつ少量生産の設備が複数ある
- プラント毎に担当が決められていないため、稼働しているプラントを全て周る
- なお、一つの制御室に全てのプラント情報が集まっている訳では無い
☞建屋毎に記録をつけるために周る必要がある
- なお、一つの制御室に全てのプラント情報が集まっている訳では無い
- 製造記録は紙媒体で、毎時間記録を取る
プラントはDCSではなくPLCで稼働している物がほとんどです。
また、紙媒体で記録を付ける事から、現場に製造記録簿が溢れかえっています。大抵、3~5年分くらいは保管していました。
記録するものは、温度、圧力、毎時流量などになります。
生産計画
- 毎月、製品毎に主に生産計画を立てる
☞主にグループ長が立てている - 勤続年数が長く、現場の生産体制を熟知しているベテランがグループ長をサポートする
消防対応
- 危険物取扱者の取得し、危険物施設の担当となる
- 担当となった危険物施設の定期点検&記録簿の保管
- 消防が立ち入り検査で来所した際、帯同して説明をする
年に1回は工場に来ておりましたが、消防のトップが変わると指摘される内容も変わりました。
また、化学工場で事故が起こると基準が厳しくなるため、以前は指摘を受けなかった箇所でも指摘を受けるという事はザラにあります。
プラント新設 or 増設する際
プラント新設または増設する際に現場がやる業務は以下の3点になります。
- PFD作成&熱交換器の熱収支計算
- プロットプラン
- 公的機関への申請
P&ID作成&物質・熱収支計算、機器選定
- CADを利用して担当するプラントのP&IDを作成
- 要求されるプロセススペックから物質・熱収支計算を行う
- 並行してプラントに必要な機器の選定を行う
中小化学メーカーには単独の技術部隊が存在しないため、現場がP&ID作成と熱交換器の熱収支計算を行います。
なお、現場には院卒・大卒・高卒がそれぞれいましたが、このような業務は院卒・大卒、もしくはベテランがやっていました。
私が居た部署では、同年代で院卒・大卒は居なかったため、上記の業務をベテランと共に行っていました。
P&IDについて知りたい方は、下記の記事を参照ください。
プロットプラン
- CADを利用して建屋の平面図を階毎に描く
- 機器・タンク類の図面を参照し、人の導線を考えながら平面図上に配置する
実はこのプロットプランを考える事が、一番好きな業務でした。
シムシティのような都市開発ゲームが好きだったこともあり、「どうすれば人の導線を邪魔する事のない現場になるのだろうか?」を考えながら配置をしていました。
空間を想像しながらプロットプランを立てる事が、何より楽しかったのを覚えています。
公的機関への申請業務
- 消防法に基づく危険物施設の申請(管轄している消防署)
- 安衛法に基づく化学設備の届出(労働基準監督署)
- 毒劇法に基づく毒劇施設の申請(保健所)
細かいところでは求められる書類が異なったりしますが、ほとんどは同じです。
申請が必要な消防署および保健所は申請後に現場を見に来ます。
申請していた内容と、実際の工事内容に齟齬が無い事を確認するためです。
なお、公的機関に提出するための主本と、会社で持っていなきゃいけない副本をそれぞれ印刷しなければいけないため、書類をまとめるだけで半日使う事もあります。
こちらの業務が最も大変で、言ってしまえばワクワクしない仕事でした。(安全を守る&法律に準拠するためなので、大切な仕事ではあるのですが…。)
特に、新工場を建てる時、所属していた課の全設備を担当していたので、合計40施設くらいになりました。
消防法に深く関係している防爆機器について知りたい方は、下記の記事を参照ください。
理系の就職・転職サービスのご紹介
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まとめ
今回は、「中小化学メーカーの製造現場で行う仕事内容」をテーマに5つ紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
- 原料の仕込みと製品の充填・梱包作業
- 複数プラントの毎時製造記録
- 生産計画
- 消防対応
- P&ID作成、物質・熱収支計算、機器選定
- プロットプラン
- 公的機関への申請
中小化学メーカーは人数が少ないだけ、現場に求められる事が非常に多いですね。
院生・大学生には就活前の情報取得、社会人には自分の会社との違いを楽しんでいただければ幸いです。


最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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