自律型人材を育成するためにコーチングをするという会社もあるようだけど、そもそもコーチングって何?
コーチングは手段だけ聞くと胡散臭く感じますよね。
「技術職を辞めて、人との関わりや場づくりの仕事にシフトしていく話」で、これまでの技術的な記事と人間関係の記事に加え、コーチングの記事も投稿していく事も書きました。
今回はそのコーチングに関する記事ですが、コーチングというと…
- 意味ない
- 気持ち悪い
- 胡散臭い
- 怪しい
- カルト宗教っぽい
などなど、散々な言葉がGoogleで検索されています。
そこで、こちらの記事では…
- そもそもコーチングの最終目的って何?
- コーチングの全体像とは?
上記の2点について解説します。
コーチングを学んでみると、一つの目的を達成する技術である事が分かります。
コーチングの最終目的とは?
冒頭で、「コーチングは一つの目的を達成する技術である」と申し上げましたが、ではコーチングの目的とは何でしょうか?
ここでは、下記の2点について解説します。
- クライアントの自走化
- クライアントの特徴
コーチングの最終目的=クライアントの自走化
コーチングはコーチが行う技術であって、それを受ける顧客、クライアントが存在します。そのクライアントにコーチがコーチングをして、目指している事は以下のたった一つです。
クライアントの自走化
上記の言葉だけでは正直どういう意味だか分かりませんが、この自走化をもう少し具体的に書くと、このような意味になります。
- クライアントの心の奥底にある在りたい姿(being)を探求して、クライアントが人生の上位方針を気付く手助けをする
- 会社で言えば経営理念で「なぜその事業をするのか?」という定義
- 個人では「どんな人生で在りたいか?」という定義
- その上位方針に基づいて、クライアント自身が何をするか決める手助けをする
- 会社で言えば行動指針で「何をどのように行動するのか?」に該当
- 個人では会社、仕事、集団、パートナーなどのあらゆる場面を、上位方針に沿って決定
- 手助けする回数を徐々に減らし、コーチが居なくなっても自走できる状態にする
- クライアントが望む人生を、クライアント自身で行動を決められる
上記のようにコーチングの最終目的は、クライアントがコーチによるコーチングを受けなくても、自分の望んだ人生を自分で決められる事、すなわちクライアントの前からコーチが消える事です。
なので、世間一般的なコーチングの役割は、かなりかけ離れていると言えます。
コーチングはクライアントが抱えている問題の答えを提供する事が目的ではありません。あくまでクライアントが心の奥底で望んでいる事を、クライアント自身から引き出す事が目的です。
ですので、コーチが上記のような対応を取ると、もはやコーチングでは無くなってしまいます。
サラリーマンにとって、コーチングは理解するのも実践するのも難しい
経済産業省の『未来人材ビジョン』から、働き手はこれまでの問題解決型ではなく、自律性が求められています。
その自律性を育むために一般企業ではコーチングが必要と、サラリーマンでもコーチングの重要性が少しずつ上がってきており、管理職や中間管理職にコーチングの研修に参加させるような動きもあります。
しかし、多くの管理職や中間管理職の年齢層(40-50代)の価値観がコーチングの目的と大きく違うので、コーチングを定着させるのは非常に難しいと私は感じています。
そう感じる理由は…
上記の時代背景から「寄らば大樹の陰」の価値観があるため、コーチングは意味が無いと考える人が多数である、というのが現状です。
コーチングは非効率
さらに、生産性が重視される世の中において、コーチングは非常に効率の悪い手段であります。
その理由は…
- コンサルティング、ティーチング
- 問題をタスク分解して、それぞれに必要な行動を提供
- さらにコンサルティングは、数字による客観的評価で行動の結果を観測
- 問題と解決がはっきりしているので、人の感情をそこまで入れる必要が無い
☞短期間で成果を上げられる
- 目的がはっきりしていれば、AIや機械学習、深層学習により更なる生産効率UPが可能
- コーチング
- 問題や課題を明らかにせず、クライアントに必要な行動も提供しない
- 人の感情を第一に考え、クライアント自身から人生の目的・目標を引き出す
- クライアント自身から目的・目標に必要な行動を引き出す
- クライアント自身が意思決定権を持ち、行動を選択する
- コーチはクライアントの行動の結果から気付き、学び、次の行動をクライアントに促す
☞そのため、非常に効率が悪い - コーチはクライアントの分野に精通してなくて良い
- 一方で、クライアント自身で自分をコーチングできる段階に到達
☞クライアントが依存・従属型を脱して、自律型にシフトする
☞クライアントの自走化へ
人間は感情を持つ生き物で、その感情に直接触れるのがコーチングになります。
もし感情を触れずに問題のタスク分解と解決だけならば、極端な言い方をすれば人間である必要が無い。
生産性の究極は人間のマシーン化なので、感情を重視するコーチングは問題の解を出さない事から、生産性を下げる手段になります。
一方で、これからはVUCAな時代と言われ、「在りたい姿なんか無くても、従属していれば安定した給与が入ってきた時代」は終わり、加えて物事が急速に変化する時代に突入しました。つまり、生産性の最適解がしょっちゅう変わる時代になります。
そのため、個人の在りたい姿無しでは手段に振り回される時代になったことから、個人の在りたい姿を引き出すコーチングは重要性を高めていると私は考えています。
クライアントの特徴
しかしながら、コーチングは万人にとって受けるべきものではありません。
コーチングを求めているクライアントの特徴は、以下の人が挙げられます。
- 人生の中で何かを変えたい人
- 充実感を得て、味わい深い人生にしたい人
- したい事とすべき事のバランスを取りたい人
- どう在りたいかを言葉にして、行動を決めたい人
総じて、自分の人生に迷いのある人が、コーチングを求めています。
コーチングを受ける必要が無い人の特徴
一方で、コーチングを受ける必要が無いのは、以下の人が挙げられます。
- 既に在りたい姿があり、活発に行動を続けることができる人
- 在りたい姿とか面倒な事はどうでもよく、安定した生活が出来ればよい人
上記どちらの人も、自分の意志で人生を選択できている人は、コーチングを受ける必要はありません。
ここでは、自分の意志で人生を選択している事が重要で、自分の意志で選択できていないなら、コーチングが必要になります。
コーチングの全体像
これまではコーチングの目的とクライアントの特徴について解説してきました。
冒頭に「コーチングはクライアントの自走化を達成する技術である」事を申し上げましたが、これからはそのコーチング技術の全体像について解説します。
基本的には以下の項目から成り立っています。
- コーチングの基礎
- コーチングの資質
- コーチングの指針
コーチングの基礎
コーチングの最終目的の項目で、コーチとクライアントは上下関係が無く、フラットな目線である事を申し上げました。
基礎はフラットな目線を成り立たせる価値観や信念であり、それを第一にクライアントと接します。
その価値観・信念は、以下の4つになります。
- 人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である
- その人すべてに焦点を当てる
- 今この瞬間から創る
- 本質的な変化を呼び起こす
コーチングの資質
コーチングの資質は、一般的な言葉で言えばコーチングをする手段になり、ここに皆さんがコーチングでよく聞く傾聴という手段が入ります。
ここで大事な事は、コーチングは人の感情、そして人生に深く入っている事です。現実を見せずに、理想だけを魅せて行動を促すのは、詐欺や洗脳と同じです。
コーチングはクライアントにとって耳障りの良いことばかり言うのではなく、時には厳しい言葉を投げる必要もあります。
コーチングの資質は、以下の5つになります。
- 傾聴
- 直感
- 好奇心
- 行動と学習
- 自己管理
コーチングの指針
コーチングの指針は、一般的な言葉で言えばクライアントの在りたい姿と現在地の確認で、これをクライアント一人で行えるようになれば、コーチングの最終目的であるクライアントの自走化に行きつきます。
コーチングの指針は、以下の3つになります。
- フルフィルメント
- バランス
- プロセス
書籍紹介
最後に、記事を書くに当たり参考にした書籍を紹介します。
コーチング・バイブル -人の潜在力を引き出す協働的コミュニケーション-
まとめ
今回は、コーチングの最終目的と全体像を簡単に解説しました。
これからはコーチングの資質や指針、基礎の中身について、記事にしていきます。
- コーチングの最終目的は、クライアントの自走化
- コーチングの全体像
- 基礎 ☞ フラットで協働的な会話を成り立たせるための価値観・信念
- 資質 ☞ コーチングの手段
- 指針 ☞ クライアントの在りたい姿と現在地の確認
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