この記事を読むのに要する時間: 4 分コミュニケーションが取れない部下だと、こちらもどうすれば良いのか分かりませんよね。
「会話をしていても反応がほとんど無いから、分かったのか分かっていないのか…どう関わっていけば良いんだろう?」、このような悩みはございませんか?
中堅社員となれば部下が付いて仕事をする事になりますが、あれこれ考えても、空回りしている感さえ出てきてしまいます。
そこで、こちらの記事では…
- コミュニケーションが取れない部下を持ってどうすれば良いのか分からない方に向けて
- コミュニケーションが取れない部下の定義
- その背景にどんな性格・資質があるか
- 上記を踏まえた部下との関わり方
上記の内容を解説します。
私自身も社会人7年目(もう4月で8年目…)の中堅社員で、部下を持つ立場です。部下を持つ事で色々苦労をする事も当然あります。
中には、コミュニケーションが上手く取れないと感じる方もいますが、コミュニケーションが取れない=仕事ができないとレッテルを貼るのは、中堅社員としてやってはいけない事の一つだと思っています。
また、コミュニケーションが取れないと感じるのは、主観に過ぎないかもしれません。
まずは、部下の性格・資質をしっかり受け入れて上手に使う事が、中堅社員として必要な心構えだと考えています。
コミュニケーションが取れない部下とは具体的にどんな人を指す?
- 極端に寡黙・無口である
- 年上と関わりたがらない
- 一匹狼で周囲と群れる事が無い
- 仕事の進捗を自ら報告しない
- 仕事で分からない事があったとしても質問しに来ない
若手から中堅社員になり、初めて部下を持った方もいるかと思います。また、中堅社員は部下を上手く使って成果を出すことが求められます。
しかし、これまでのプレーヤーとしての自分と比較してギャップがあり、かつコミュニケーションが取れないとなればどうすれば良いのか分からず、一人でやきもきする状況に陥っている方もいるのではないでしょうか。
コミュニケーションが取れない部下の特徴というのは一言では表せず、下記のようにいくつか具体例があります。
あくまで具体例として挙げていますが、下記の内容は一概に悪い事という訳ではありません。
極端に寡黙・無口である
- 理系の技術者として入社してくる方は特に寡黙である事が多く、コミュニケーションは取りづらいという印象がある
- ただ寡黙なだけならまだしも、誰ともしゃべらない、しゃべろうともしない方も、ごく少数ではあるが存在する
- 口頭でのコミュニケーションが取れないので、口頭でしかコミュニケーションできない人との相性は最悪
年上と関わりたがらない
- 上司やベテラン社員など、一回り以上歳が離れている社員と極端に関わろうとしない
- 同期とは楽しく談笑している姿を見るが、年の離れた社員とどのように接したら良いか分からないためか、自ら近寄る事をしない
- 年の離れた社員から「若い子が何考えているか分からない…」と言われる事がある
一匹狼で周囲と群れる事が無い
- 年上だけでなく同期とも関わらず、個人プレーヤーとして動きたがる
- 気付かない間に姿をくらましている事もあり、「あれ、あの子はどこに行った??」と言われることがある
- 仕事をさぼったりはしないが見当違いな事をやっている事があり、後始末に追われることもある
仕事の進捗を自ら報告しない
- 任せた仕事に対して確認をしないと、仕事の進捗を自分から報告しようとしない
- 期限を設定していなければ仕事を任せた側が完全に悪いが、そうしているにも関わらず報告してこないという事がある
仕事で分からない事があったとしても聞きに来ない
- 作業をする事が目的の実験室や現場でただ立っていたり、そこまで時間がかからないパソコン作業を長い時間している or 何か考え込んでいるような状況を目にする
- 聞くこと自体に何かしら抵抗を持っているように感じる
質問されると黙り込む原因について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
その背景にどんな性格・資質がある?
性格と資質
- 超が付くほどの慎重さを持っている
- 内省が好きで、一人物事を深く考えたり、分析する事を好む
- 物事をとことんまで突き詰めたい探究心を持っている
- 人との対立・言い争いを好まず、感情が安定している事を好む
- ルーチンや秩序など規律性がある事を好む
コミュニケーションが取れないと感じる人に対する誤解
- 他の人と共感できる能力が無い
- 環境適応能力が無い
- 物事に対する達成欲が無い
- 面倒見が悪い
- 学習欲が無い
前項でコミュニケーションが取れないと感じる部下の具体例をいくつか出しましたが、その背景には複数の性格・資質があると考えています。
やらせてみると、意外に「あ、これ得意なんだ!」と新たな発見があり、頼もしい面をいくつも見つける事ができます。
なお、下記全ての性格・資質が該当する訳ではありません。
性格と資質
超が付くほどの慎重さを持っている
- 慎重さというのはリスクを軽減するために、一旦考えてから行動に移す性格だが、それが極端になるとリスクを深くまで検討し終えないと一向に行動に移さない
- その極端な慎重さは、仕事だけでなく何気ない会話にもおよび、自分に関する一切の事を話さない
- 誰に何を言うか人の倍以上考えているので、仕事の合間で雑談が発生するような場には絶対に参加せず、事務的な印象が非常に強い
- そのため、仕事では個人プレーヤーとして遂行したいと考えている
内省が好きで、物事を一人で深く考えたり、分析する事を好む
- 仕事で何か上手くいかなかった事や疑問に感じた事、または興味を持った事などにフォーカスしたいとき、大勢で集まって話し合いをするのではなく、殻に閉じこもって一人になりたい性格の持ち主
- 頭の中では、樹形図のように分解して基本要素まで落とし込み、それぞれの関連性を見出して物事の全体を理解していく
- 表面的な部分を少し教えるだけで自ら深堀りを始めるので、一を聞いて十を知るタイプ
物事をとことんまで突き詰めたい欲求がある
- 物事を妥協せずに、最高の状態を目指して試行錯誤・行動する
- 周りや期限等を気にせず没頭している事が多い
- 0か1しか頭に無いため、隅々までやり尽くさないと気が済まない
- 仕事で妥当な結論を出して前に進む事という状況が苦手
人との対立・言い争いを好まず、感情が安定している事を好む
- 人が集まれば様々な意見が生まれるが、意見の対立があったとしても、感情的になる事に意味が無いと考えている
- 感情が安定している事こそ、物事を冷静に判断して前に進める要素だと考えている
- そのため、会議等で話が収束せずに発散しそうになる場面では余計な事を言わず、聞き流している事がある
ルーチンや秩序など規律性がある事を好む
- 日々決められた業務をスケジュール通りに終わらせられることを好む
- その中で、正確性や効率性を向上させることに意義を見出している
- 自由な風土よりも、ルールが決められている中で業務をこなす風土が向いている
コミュニケーションが取れないと感じる人に対する誤解
他の人と共感できる能力が無い
- 無口であったり、群れないからと言って、他人の気持ちを感じ取れない訳ではない
- その場の雰囲気であったり、語気から相手の感情を察する事は得意
- 感情の起伏が激しい人や場面に居ると疲れるため、それをいち早く察知し距離を置いている
環境適応能力が無い
- コミュニケーションを取る事は苦手だが、環境適応能力が無い訳ではない
- 流れに身を任せて、その時に必要な仕事を受け入れる、またはスキルを習得する柔軟性がある
- どんな状況でも反応しないため、動じない事を受け入れてくれる組織でないと、適応できないと思われている
物事に対する達成欲が無い
- 感情を表に出さないだけで、物事への達成欲が無い訳ではない
- 手持ち無沙汰な状態が嫌なので、そういう組織に身を置いている場合、何か仕事を見つけて黙々と業務している
- ゆえに、一匹狼と誤解されることがある
面倒見が悪い
- 周囲と関わりを持ちたがらないと言って、面倒見が悪い訳ではない
- 新たに配属された人へ仕事を教える際、個々の状況に応じて教え方を変える事もできる
- 人の話を傾聴できるので、どこで躓いているかも直感的に察知できる
学習欲が無い
- 指導しているときに反応が無いからと言って、学習欲が無い訳ではない
- 表面的に教えたことを自ら深掘りしていき、いつの間にか知見を広げている事もある
- 疑問に思ったことに集中が行き、話を聞いていない or 関心が無いように取られることがある
上記の例で挙げたような方の特徴に、アスペルガー症候群という性格があります。
アスペルガー症候群について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
上記を踏まえた部下との関わり方とは?
- 部下の課題を自分の課題と混同しない
- 年齢は違えど対等である事を常に意識する
- 最適なコミュニケーション方法を共有する
- 部下を自分や他人と比較をしない
- 口頭で話さないという関わり方を受け入れる
前項に述べた性格・資質を踏まえて、指導する中堅社員はどのように関われば良いのか、いくつか具体例を挙げてみます。
下記が正解という訳ではありませんし、今後指導を重ねていく上で変化する事もあると思いますが、現時点ではこのような関わり方がお互いにとって負荷なく、成果を上げられています。
部下の課題を自分の課題と混同しない
- 部下の課題を自分の課題と混同してしまう人の口癖は「あなたのためを思って」
- 中堅社員の課題は部下を上手に使って成果を上げる事
- コミュニケーションが取れない事は部下の課題であって自分の課題ではない、これを常に意識しておく
少し冷たいようにも思えますが、仕事の成果に関わらない部分は、基本放っておく事にします。
親のように介入し過ぎて、イライラしている上司を沢山見てきたので(;^_^A
年齢は違えど対等である事を常に意識する
- 年齢が下というだけで、無意識に上下関係を形成してしまう
(中には年上が部下という状況もあるが…) - 親子のような関係になると介入し、部下の仕事を中堅がやってしまう事態が生じる
- 仕事の関係として責任を持たせ、遠くから見守る事を意識する
最適なコミュニケーション方法を共有する
- 本人にどのようなコミュニケーション方法が最適か確認する
- 口頭でも大丈夫なら口頭で、できないならメール or チャットにし、意思疎通がし易いように対応する
- 緊急性の高いときは口頭にすると決めごとをしておく
部下を自分や他人と比較しない
- 自分のこれまでの経験や同期・周囲との状況を比較しない
- できない事を強制するのが社会人ではなく、できる事をさらに磨き、強みを利用して弱点をカバーする方法を見出す事が社会人である事を示す
- 野球、サッカーにポジションがあるように、部下の資質を最も活かせる環境を整備する
話さないという関わり方を受け入れる
- 口頭でないと正しく伝わらないという、前時代的な発想をやめる
- 仕事の指示は基本メール or チャットで行い、指示した証拠を残す
- 部下が指示内容を咀嚼する時間を設ける
また、やってはいけない上司・先輩の部下に対する関わり方について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
書籍紹介
- さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
- 嫌われる勇気
- 「いまどき部下」を動かす39のしかけ
中堅社員になるに当たって読んだ本の中で、2つほど紹介します。
いずれも有名な書籍ですが、インプットするだけでなくアウトプットする事に注力しましょう。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
- 34の資質に基づいて、個々の強み・弱みが分析できるツール
- 書籍であれば上位5つの資質を分析する事が出来る
- 34の資質全てを分析したい場合は、『クリフトストレングス』からテストを受講する
- 自分だけでなく部下にも受講させ、お互いの資質を確認し合う
☞ この手のものは、自分の結果だけ見て満足する事が問題
☞ お互いの資質を確認して、チームとして機能させる事が重要
- 書籍verで中古を買ってしまうと、テストが受けられないため注意
- 上位資質を理解する事は大事だが、それが適職とはならない事を頭に入れておく
☞ 周囲が自分と同じ上位資質だったら、相対的な価値は低いため
☞ 周囲が持っていない資質、かつ需要が高い=相対的な価値が高い
嫌われる勇気
- アドラー心理学の思想から、自分の内面、人との関係の在り方を考えていくもの
- 部下との関係が上手くいかないときは、その手法に問題があるのではなく、自分に問題がある事に気付く
- 具体的な解決策が記載されている書籍ではないため、すぐに答えが欲しい方には向かない
- 自己啓発書のため、読む人を選ぶ
- 全てを盲信するのではなく、その中で「じゃあ、自分はどうするか?」を具体的に考える必要がある
「いまどき部下」を動かす39のしかけ
- いまどき部下の特徴を挙げて、どのように仕事を渡すか記載された書籍
- 第2章の「仕事の成否は誰に託すかで8割決まる」にある内容が秀逸
- そもそも、多くの上長が仕事を任せる人を間違えている
- 誰にでも平等に仕事を与えるべきではない
- さらに、任せ方の具体的なルールも記載がある
まとめ
今回は、「コミュニケーションが取れないと感じる部下との関わり方」をテーマに紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?上記の内容をまとめると…
- コミュニケーションが取れないと感じる部下の性格・資質は千差万別
- 自分の課題にフォーカスし、成果を出す事に注力する
中堅社員になり求められる事のレベルが上がる一方、部下との関わり方に悩んでいる、そのような状況の方々に少しでも参考になれば幸いです。
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