【エッチングとは?】半導体におけるエッチング処理と装置について簡単に解説

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半導体でのエッチングって何の目的でやってるの?

 

エッチングは半導体製造工程のリソグラフィプロセスで利用される微細加工技術の一つで、加工には物理的にやる方法もあれば、化学的にやる方法もあります。

  • この記事を読むことで、半導体におけるエッチング処理が分かります
    • エッチング処理の目的
    • エッチングに必要なもの

半導体におけるエッチングの目的

リソグラフィプロセス

エッチングを説明するにはリソグラフィプロセスの全体を知る必要がありますが、リソグラフィプロセスの順序は…

  1. ウェハ上に下地層、薄膜を成膜する
  2. 薄膜の上にフォトレジストを塗布
  3. マスクを通して露光し、フォトレジストにパターンを形成(①)
  4. 現像でフォトレジストを除去(②)
  5. むき出しになった薄膜を除去(③)
  6. レジストを除去してウェハ上にパターンを形成(④)

となっており、図で言う③がエッチングを絵にしたものになります。

エッチングの目的を言葉にすると、レジストで被服されていない部分の薄膜を選択的に除去する工程になります。

現在、半導体業界ではドライエッチングという方法で、エッチング処理をしています。

エッチング方法(ドライエッチングの工程)

  1. 真空中で放電させエッチングガスを導入
  2. エッチングガスから反応種(イオン or ラジカル)の発生
  3. 下地表面への反応種の吸着
  4. ウェハ表面での加工膜と反応種の反応、反応生成物の生成
  5. 反応生成物の脱離

エッチングで求められる性能

  • 加工精度
  • 選択性

エッチングでとにかく求められるのはレジストでパターン形成された絵の通りに微細加工できる事で、ドライエッチングでは物理的にエッチングできるイオンと、化学的にエッチングできるラジカルの両方を使って、エッチングしています。

イオンによるエッチング

  • プラズマによって帯電粒子(イオン)を発生
  • 加速したイオンによる物理的衝撃(スパッタリング)を用いて下地を除去
  • 異方性は高いが、選択比は非常に低い

ラジカルによるエッチング

  • プラズマによって化学的に活性な分子(ラジカル)を発生
  • 下地材料とラジカルが化学反応する事によって下地を除去
    ☞ 反応生成物の蒸気圧によって脱離
  • 異方性は低い(等方性)が、選択比は高い

異方性と等方性

  • 異方性:パターン形成されたレジスト寸法に忠実
  • 等方性:放射状にエッチングするためレジスト寸法より小さくなる

等方性の高いラジカルによるエッチングは、ラジカルが吸着したところからエッチングしていくので、直進性が無く放射状に広がってしまい、薄膜を下までエッチングする頃にはレジスト寸法よりも小さくエッチングしてしまう欠点があります。

選択比

選択比は大きい方が良い

  • レジスト選択比=薄膜のエッチング速度/レジストのエッチング速度
  • 下地選択比=薄膜のエッチング速度/下地のエッチング速度

異方性のあるイオンによるエッチングは選択比が低く、被覆しているレジストや下地をエッチングし過ぎてしまいます

一方、ラジカルによるエッチングは薄膜のエッチング速度が速く、レジスト選択比や下地選択比が大きいくなります

そのため、イオンとラジカル両方のメリットを利用することで、理想的なエッチングが実現しています。

エッチングに必要な物

これまでエッチングの目的を説明してきましたが、ここではエッチングをする際に必要なものを以下に記載します。

エッチングガス

  • ドライエッチングの場合、エッチングにはガスを使用する
  • 物理的な衝撃により加工材料をウェハ表面から飛び出させる場合
    ☞ どんな材料でもエッチング可能
  • 化学的な反応を利用する場合
    ☞ 薄膜とガスの反応生成物が気相中に脱離できるもの
    ☞ エッチング時の温度よりも沸点が低い反応生成物

ドライエッチングは物理的もしくは化学的によってエッチングしますが、化学的な反応を利用してエッチングする場合に一つ注意点があります。

それは、反応によって出てきた生成物の沸点が、エッチング時の温度よりも低い事

つまり、反応生成物が蒸発して初めて化学的なエッチングができます。

ここで反応生成物が蒸発しないと表面に残ってしまい、エッチングが出来なくなってしまいます。

プラズマ

  • 真空中で電極に高周波を印加して放電
  • 発生した電子がエッチングガス分子に衝突してイオン、ラジカル生成
  • これを繰り返す事で低温プラズマを発生させる
  • 低温プラズマ状態でエッチングを行う

プラズマは固体、液体、気体に次ぐ第4の流体と呼ばれ、原子周囲の電子が電離している状態です。身近な例で言えば、太陽表面のコロナは非常に高温でプラズマ状態になっていると言われています。

太陽の表面でプラズマ状態になるくらいなので、物質がプラズマになるには大きいエネルギーが必要でした。

しかし、人類の進歩により低温でもプラズマができる環境を見つけ、半導体製造工程で活かされています。

れおねる

この低温プラズマは手で触る事ができます。

平均自由工程

ULVAC やさしく教わる真空技術シリーズ

装置

富士フイルム 特許技術

  • プロセスチャンバー
    ☞ プラズマを発生させ、エッチングをするブース
  • 真空システム
    ☞ チャンバー内を真空にする
  • ガス導入システム
    ☞ エッチングガスを導入する
  • 高周波電源
    ☞ プラズマ発生に必要な放電をする
  • 制御システム
    ☞ 室内温度、印加圧、真空度、ガス供給量の制御システム

まとめ

今回は、半導体におけるエッチング処理と装置について解説しました。

  • エッチングの目的はレジストで被服されていない部分の薄膜を選択的に除去する事
  • ドライエッチングの方法は、物理的・化学的の2種類がある

半導体化学メーカー全般を知りたい方は、下記の記事を参照ください。

れおねる

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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